1月の。( その2 )

倒れた父が搬送された病院に向かう。

救急待合の横を通り処置室へ。

意識が混濁し 時折頭を触る仕草をするが

呼びかけには応えない。

開いた目にいつもの父は居なかった。

 

後悔、悲しみ、恐怖・・・負の感情ばかり押寄せる。

 

暫く経った頃、今後について説明が有ると小さな部屋に入った。

◎出血が止まるのを待ったが増え続け

このままでは命が危ない為

今から手術をする。

◎出血の部位が右の運動機能に関わる場所の為、

恐らく手術が上手く行っても麻痺が残り

今後、右半身は動かないだろう。

◎いつ目覚めるかどこの部位が損傷しているかは人それぞれ。今は解らない。

◎回復には年齢的にも長くかかるだろう・・・・など

 

姉は、担当医の説明を手帳に書き込みCT画像を撮影している。つぶさに書き込む事で今後の資料にもなるし、もしもの時の決め手にもなる。と。

私は涙が流れるばかりで説明が入って来ない。

母が1番戸惑ってただろうに。

テキパキと手続きと 質問、冷静な行動。

やはり姉には敵わない。

 

家族の待合室に移動する。

何組か既に待機されている。

隣の家族の方は葬儀の日取りを決めていた。

心が、ざわつく。

 

少し経ち、今日の経緯を母に聞く。

朝食後に仏壇に手を合わせた後

もう少し眠ると横になった父。

最近は 良くある事だ。

 

寒い日だったので湯たんぽのお湯を足して

父に持って行った時に いつもと呼吸が違う事に

気付いた母は救急車を呼んだ。

救急隊員の方は処置は勿論の事

火の元や戸締りまで普段 動転して忘れがちな事を的確に教えて下さったそうだ。

搬送先の病院は以前 父がお世話になった先生がおられる救急病院。

距離が有る為きっと長く感じただろう。

 

毎週水曜日は
母はお昼から健康体操。
父は夜に居合道の稽古。
高齢とは言え趣味を続ける二人を
ずっと嬉しく思っていた。

もし母が出掛けた後なら気付くのが遅れたし

居る間で本当に良かった。

 

 

手術は5時間に及んだ。

その間 居合道のきっかけとなった師範が

久しぶりに父に会う為に稽古に出向いておられ、

急な休みに異変を感じ駆け付けて下さった。

何十年の仲で 繋がりを感じずには居られなかった。

 

私は相変わらず頼るばかりで、

御先祖様や龍神様方に お願いしますと

一心に祈った。

その間も仲間が勇気づけてくれ本当に有難かった。

 

無事手術が終わった。傷は痛々しいが

麻酔で静かに眠っている。

集中治療室に居るため家族は帰る事に。

駐車場への道すがら

夜空にくっきりと雲が浮かんでいる。

「あっ!!」思わず微笑む。

 

つづく。

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