事件を呼ぶ女。

去年の11月の中頃。12月分のシフトが出る。

「ゆうこさん 今まだ8日分しかシフト決まってません」と連絡が入る。

移動販売は冬は仕事が減る。

その分社員優先で、

委託の食堂の方の仕事を回すって。

私 パートの身。何故か同じ会社に入った息子は

社員。息子に仕事が回った方が良いな。

なんて親心。

でも8日じゃ 年越せないじゃん。

 

その時期は、期間限定で フードコートの

仕事に入っていた。

隣の常設のラーメン店のマスターに

沢山助けて頂いた。

委託期間が終わる頃に仕事が無い事を

マスターに話した。

「12月忙しいから手伝ってよ!」

社交辞令かと思ったらホントだった。

 

私の8日分のシフトを社員さんで振り分けて

もらって、12月から私はラーメン店で

働く事になった。

週末がメインだがお陰で年は越せそう。

安堵した。

 

12月1日が土曜日だったからいきなり初出勤。

警備員室で入館の為、名前を記入する。

ちょっと前まで隣の店だったのにね。

警備員さんも笑ってる。

ラーメン店は常連さんも多く賑わっていて

暇を持て余し気味だった今までに比べると

新鮮だ。頑張らなきゃな。

アタフタしてる間に週末は過ぎ去った。

次の仕事は また週末。

そう思っていたら水曜日にマスターから連絡が。

「 ちょっと体調崩したみたいだから手伝って貰えないか? 」って。

すぐに向かった。

話を聞くと昨夜お風呂から上がって

ソファの上で1時間位、意識が無くなった

なんていう。冗談ばかり言うし

疲れが出たのかな?と話したが

仕事の合間、やたら裏で横になるの。

そして、起きてる時、ラーメンの作り方を

私に教えてくれて。

「 え!3日目で作って良いのですか・・・? 」

いきなりラーメンデビューする事に。

「そこに立ったからにはプロやからな!」

なんて言われて

「えぇーーー!」

でもやるしかないよ。

その合間もマスターは横になってる。

ちょっと心配だな。

「明日必ず病院行って下さいね!」

そう伝えてその日は仕事を終え

各自、車で別れた。

 

次の日、病院で点滴をしてきたと言う。

「過労」だって。診断ついてホッとした。

それでも本調子では無く

私の作るラーメンの杯数が増えていった。

 

その日は車が無くて帰り道が同じだったので

マスターに乗せて貰って帰る事になった。

仕事場を出てすぐに大きな道路に出る。

この街1番の交通量。

この近くに住む友達の話を聞いていた。

曲がってすぐの信号待ちで停った時に

突然言葉にならない声がして

見るとマスターが、意識を失っている!

助手席から意識確認しながら、ギヤチェンジ、

サイドブレーキハザードランプ

握ったままのタバコを奪い捨てる・・・

いきなりの自体に戸惑いながらも割と冷静だった。

 

程なくして意識が戻ったが、私が運転を代わる事に。

病院を勧めるが 「 事務所に寄る。」と、頑なだ。

でもやはり普段と違う為、

無理矢理 救急もある 病院に向かう事にした。

その間、マスターの家族に病院に

来てもらう連絡をして。

 

病院に着いてその時の状態を先生に話す。

詳しい検査の為に運ばれて行った。

「 この際しっかり診て貰って下さい!」

力無く笑ってる。

 

奥さんと子供さんが到着するまで私が話を聞く。

暫くして2人が到着した。

奥さんは不安そうで一緒に居る事に。

検査が全て終わった時には日付が変わっていた。

診断は「 一過性の脳梗塞

詰まりは無くなったが

また起こる確率は15パーセントと言われた。

低い数字かと思ったが

「とても高い確率です。このまま入院して頂きます。 」と先生。

 

病室に案内された後、マスターの車を

家まで運ぶ事に。

奥さんが病院付近に詳しく無かったので

大まかな場所をナビに入れて私が先導した。

自宅付近で先に行ってもらう。

駐車場を案内して頂いたが

どうも見覚えがある。

似たような家が並んだ場所では有るが

やはり気になる。

奥さんに 「こちらのお家・・・」と聞いてみる。

やはり的中。父が初めて教頭になった時の

校長先生の家だった。

家族も含めて本当に可愛がって頂いた。

出雲で結婚式をする私の為に前乗りして

一緒にどんちゃん騒ぎもして下さったのよね・・・

(ごめんなさい!先生、添い遂げられませんでした!)

 

校長ご夫妻はとうに亡くなっていた。

マスターと娘さんが同級生でたまたま再会し

東京に住む娘さんの代わりに家の管理を任され

住んでいると言う。

縁にちょっと震えた。

 

全て終わらせた時刻は夜中の2時。

帰る手段が無く、眠りかけていた息子に

迎えに来て貰った。

その車の中でやっと、色々と大変な事になったかも知れない事をジワジワ実感した。

それに比べたら仕事が無くなった位・・・。

 

そう。私はポッカリ予定が抜け落ちたんだ。

学生時代に貰った不名誉な称号。

「 事件を呼ぶ女。 」頭をササッとよぎる。

年は越せるのか・・・???